法人独自の取り組み

2021年07月07日 農福連携事業

#農福連携 #95 「在来種の種を使って、伝統野菜に挑戦する企画に参加、そして雑誌取材も」

15歳という若さで種苗会社を始めた高校生がいる。東京在住の小林宙(そら)氏、現在17歳の高校2年生だ。会社の名前は「鶴頸(かくけい)種苗流通プロモーション」。伝統野菜を主とする種と苗と、農薬・化学肥料不使用の伝統野菜の販売を行っている。

京都名物、千枚漬けの材料になる聖護院かぶら、東京の練馬大根、金沢野菜の金時草、鹿児島の桜島大根、味のよさで知られる山形のだだちゃ豆。最近、食の世界で注目を集める伝統野菜のブランドはもともと、土地の人たちが種を採り受け継いできた在来作物である。ほかにも、全国には多様な在来の野菜や穀物がある。

幼少期から種と植物に興味があった。一方、私たちが普段スーパーや八百屋で購入するのは、種苗会社が種を管理し販売するF1種と呼ばれる1代限りの交配種だ。農家は毎年、種を買わなければならないが、栽培や収穫が楽なので、昭和後半に多くの産地で在来作物と入れ替わっていった。例えば神奈川県の三浦大根は、1979年の台風20号で大きな被害に見舞われたことをきっかけに、F1種の青首大根が急速に普及し、栽培が衰退した。

F1種に押され、絶滅の危機に瀕する在来作物を守ろうと取り組む人たちは、全国にたくさんいる。それでも、衰退を止められない。もう一刻の猶予もない、と会社を立ち上げたのが小林氏だ。

彼の取り組みに感銘を受けた一般社団法人自然栽培パーティ全国協議会は協力する方針を打ち出したそうだ。その自然栽培パーティから声がかかり、八幡西活動センターでも今夏より固定種をつかった伝統野菜に挑戦することを決めた。その野菜ができた折には、11月に「旬を旅する野菜セット」としてネット全国販売されることになる。

いままで、ズッキーニ、にんじん、スナップえんどう、グリーレモンなど取引をした。物量はすくないながらも活動センターの野菜は全国に流通してきた。このことは利用者もすでに知っていて、拍手がおこるほど、自分たちの仕事(成果物)に対して喜び、誇りをもっているようだ。

そんなやり取りをここ何年もやってきて、小林宙さんの種を使った企画に参加することでなんと「コトノネ」という雑誌の取材をうけることになった。すでにご存じの方もいるかもしれない。雑誌「コトノネ」は、全国の障害者施設、就労⽀援施設の経営改⾰に関する様々な提案をおこなうことを⽬的に、2012年1⽉に創刊された雑誌である。

このたび、Zoomをつかって、取材をうけた。農福連携に貢献し、今まさに中心的役割になっている中西康成さんがその取材対象となった。昨年の12月のハートフルネットでも紹介された彼だが、コトノネ編集者はその機関誌をみたそうで、活動センターの農福連携の立役者にぜひお会いしたい要望もあった。

また、ご本人にとっても全国誌に取り上げられることで励みになり、ますます意欲の向上につながればと期待している。とにかく、活動センターはただ、単純に地道に活動していることが地域社会にとってはとても貢献性の高いものとして認識されているのだから大変驚いている。

はじめは家庭菜園に毛がはえたくらいのものだったから。今後も見学や講演などお話はいただいているが、丁寧に対応していくこととしている。

(写真は、ご本人様の同意を得て、撮影、掲載したものです。)

#農福連携#自然栽培#農福#農業#農業と福祉#就労支援#就農支援#障害者雇用#SDGs#ダイバーシティ#共生社会#社会課題解決