法人独自の取り組み

2021年06月30日 農福連携事業

#農福連携 #94 「西活の農福連携は、少量多品種に取り組んでいます。」

今年度の西活の作付計画は、「収量は少なくても、多くの品種を育てる」そう“少量多品種”に挑戦するよう策定しました。

今、その計画を確実に実施するため圃場や活動センターを行ったり来たり、資材調達や販売、残渣処理、地力維持、地主との交渉や圃場近隣の住民との関係性構築とフル回転で動いています。

なぜ、急がなければならないのか、それは、野菜づくりの大原則、「適期適作」を守るためです。その時期に播種、定植・移植、収穫、次の準備など同時進行にすすめることが求められます。それさえ守っていれば、いいものができるといっても過言ではないでしょう。そのため、適期適作であることが、彼らの工賃水準の高くする秘訣のひとつとみています。

農福の大変なところの一つとして、どの仕事とくらべても、仕事をする量・面積の規模感が全く異なる次元であることが挙げられます。例えば、1本や2本くらいの単位ではなく、3桁以上の苗、5桁以上の種、g、kgではなく、t単位の量、何坪ではなく、何反、何アールといったすぐにはピンこない単位を常に頭で考え、体を動かす。それも利用者支援も同時進行で。まさに人体余すことなく総動員で動くことが求められているのです。

私たちは、農福を通じて、見えてきたものがあります。それは、法人が求めている特色ある事業所づくりに大きく貢献しているのではないかいや、それは、すでに達成したかもしれません。もっと言うなら、よその障害福祉サービス事業所がまねできない領域まで踏み込んだ可能性まであると感じています。

つまり、よそとの競争力がついた、差別化できた、専門性が飛躍的に向上できたと。だから、新規利用者獲得に苦労することもなく、口コミがひろがり、新規相談が明らかに増えていると実感しています。

万年下請けの単純反復作業、どの施設でも物まねで、だれでもやれる仕組みの中で人頼みの障害福祉サービスでは、特色もだせないと考えています。まして人手不足の世の中で人材獲得がなかなか期待できないし、人に頼りすぎない仕組みが必要ではないかとすら感じています。

 

だから、やっていること、つまりコンテンツが充実したものになることが、専門性のある施設、人気店になることだろうと信じてやみません。

さて、少量多品種で、いった何をつくっているのか。4月から言うと、(すでに収穫したものも含む)スナップエンドウ、たまねぎ、男爵いも、メークイン、シャードークイン、きたあかり、かつお菜、わさび菜、青梗菜、山塩菜、ほうれん草、春菊、ブロッコリー、スティックセニョール、キャベツ、加賀かぶ、雪姫かぶ、白菜、ズッキーニ、白オクラ、茄子、唐辛子、ピーマン、白ネギ、ニンニク、菊芋、空芯菜、自然栽培もち米、生姜、サトイモ、赤芽サトイモ、大豆、鳴門金時、大根、ニラ、ミニトマト、シルクスイート、きゅうり、モロッコインゲン、カボチャ、原木しいたけと4月~6月の3か月で野菜だけで42品目を育てています。

さらに、レモン、オリーブ、びわ、キンカン、イチジクなどの果樹やミントなどのハーブ栽培にも拡大しています。また、花卉にも挑戦中で仏花を中心に小菊、鶏頭、マリーゴールドなどの花にも手を広げています。

これで、今年中には、西活は「野菜とフルーツと花に囲まれた施設」に発展することが見込まれています。

なぜ、こんなにも多くの野菜、果樹、花卉を日中活動として提供しているのかは、利用者の実態に合わせてやっているためです。多様なニーズを抱える利用者は、画一的な活動提供では満足されていないとおもわれます。もし、画一的なサービスを継続することも今後もやめない姿勢ならば、飽きられ、他の障害福祉サービス事業所に流れてしまう恐れもあると危惧しています。

そのため、個別支援と謳い、書類だけ立派にそろえても日常の支援が個別支援になっていない事業所では生き残ることができないと感じがします。多種多様な作業が生み出せる農福であれば、対応できるはずと信じ、活動提供することでやりがい・生きがい・働きがいといった無形の満足につながるだろう取り組みの一つになりうるだろうと考えています。

少量多品種で、多様な障害のある方のディーセントワーク(人間の尊厳が保たれ、誇りあり働き方)が実現できる日も近いと期待しています。

(写真は、ご本人様の同意を得て、撮影、掲載したものです。)

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