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2023年08月31日 その他

県がインクルとばたにデジタル化事業の拠点施設開設で「就労支援の場」開所式を開催

 障害者の就業機会の拡大、工賃向上を推進する福岡県では国立国会図書館の蔵書や県の公文書、ファイルなどのデジタル化作業に取り組む拠点を「インクルとばた」に開設、その「就労支援の場」開所式が8月26日、戸畑区の「育成会会館」で開催された。これには福岡県の服部誠太郎知事、北九州市の武内和久市長、公益財団法人日本財団の尾形武寿理事長らのほか、法人育成会からは小松啓子理事長らが出席した。
 福岡県では、日本財団と「働く障害のある人の支援のための連携協定」を締結し工賃向上に連携して取り組んでおり、昨年、大野城市と大牟田市の施設に国立国会図書館の蔵書のデジタル化業務を行う拠点を開設した。国会図書館の蔵書のデジタル化事業は、日本財団が業務を受注し県を通じて障害者施設に委託しており、インクルとばたが県内3箇所目の拠点となる。同事業所では今年度、県の発注で県内4箇所の児童相談所の資料ファイル約5万冊をデジタル化する予定で、8月8日から作業をスタートさせている。作業には同事業所のほかインクル小倉北、他法人の利用者24人が参加。ファイルから資料を取り出し仕分けを行いスキャンし、またファイルに綴り、スキャンした画像を検査するなどの工程に取り組む。
 式では冒頭、服部知事が「福岡県と日本財団は一昨年7月に、障害のある方の就業機会の拡大、工賃の向上を目指す連携協定を締結しました。昨年、この協定に基づき、日本財団が受注されている国立国会図書館の蔵書のデジタル化業務を行う『就労支援の場』を県内2箇所にオープンしたところです。今回、『インクルとばた』に北九州地区の『就労支援の場』を開所することができ、本当にうれしく思っています。このインクルとばたでは様々な高性能スキャナー等を整備しており、国会図書館の蔵書はもとより県、民間の文章のデジタル化にも従事していくことを期待しています。障害のある方が生きがいを持ち、経済的にも安定して生活を送ることができる、また年齢や性別を問わず、さらには障害のあるなしに関わらず、すべての方が輝き活躍できる取り組みを進めていきたいと思います」と挨拶。続けて、来賓から祝辞が述べられ、テープカットが行われた。その後、作業場でファイルの仕分け作業などを行う利用者らの様子を見学。インクル小倉北から参加する小森博己さんは「デジタル化された文書をパソコンで見直す作業は大変だが、責任ある仕事でやりがいがある。自分が作業に関わったものが世の中に残るのがうれしい」と話した。
 福岡県の就労継続支援B型事業の月平均工賃が約1万5千円のなか、デジタル化業務に従事する大野城市と大牟田市の施設では月10万円を超える利用者もいると言い、デジタル化という専門性の高い仕事に取り組むことで工賃向上に大きな期待が寄せられる。
(写真1段目は開所式の冒頭、挨拶を行う服部知事、2段目はテープカットを行う服部知事ら。3段目、4段目は式後、作業場でファイルの仕分け作業などを行う利用者の様子を見学する出席者ら)